相続した実家を売る流れ|かかる費用・税金と3,000万円控除の条件
- 相続した実家を売るまでの流れ
- 売るときにかかる費用と、その目安
- 税金のしくみと、空き家の3,000万円控除の条件
売るまでの全体の流れ
相続した実家を売るときは、ふつうの家の売却の前に「相続の手続き」が入ります。おおまかな流れは次のとおりです。
仲介で売るか、買取で売るか
売り方は大きく2つあります。
| 売り方 | しくみ | 向いている人 |
|---|---|---|
| 仲介 | 不動産会社に買主を探してもらう | 時間がかかっても、なるべく高く売りたい人 |
| 買取 | 不動産会社が自分で買い取る | 早く手放したい人、古い家や家財が残っている家を売りたい人 |
出典:国土交通省の資料などをもとに編集部で整理。2026年10月14日に確認。
仲介で売るときは、不動産会社と「媒介契約」を結びます。媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があります。国土交通省によると、専属専任と専任の場合は、不動産会社に物件をレインズ(不動産会社どうしの物件情報システム)に登録することや、売主への定期的な報告が法律で義務付けられています。
買取とのくわしい違いは、空き家の買取の記事で解説しています。
売るときにかかる主な費用
| 費用 | 内容・目安 |
|---|---|
| 相続登記の登録免許税 | 固定資産税評価額などの「不動産の価額」の0.4% |
| 司法書士への報酬 | 相続登記を頼む場合。事務所によって違います |
| 仲介手数料(上限) | 売買価格のうち200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%(いずれも税抜) |
| 印紙税(売買契約書) | 契約金額500万円超1,000万円以下で5千円、1,000万円超5,000万円以下で1万円(軽減措置。2027年3月31日までに作る契約書) |
| そのほか | 家財の片付け費用、解体費用、測量費用など。家の状態によって必要なものが変わります |
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」、国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の改正資料。2026年10月14日に確認。
安い空き家は、仲介手数料の上限が別ルール
2024年7月1日から、売買価格が800万円以下の「低廉な空家等」については、仲介手数料の上限が最大33万円(税込)まで認められるようになりました。安い物件でも不動産会社が仲介を引き受けやすくするためのルールです。この上限を使うときは、媒介契約を結ぶ前に、不動産会社が売主に金額を説明して合意する必要があります。
出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の改正資料。2026年10月14日に確認。
相続登記の登録免許税がかからない場合
国税庁と法務局によると、2027年3月31日までの登記で、不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記などは、登録免許税がかからない免税措置があります。地方の安い土地を相続した場合は、対象になるか確認してみましょう。
売って利益が出たときの税金
実家を売って利益が出ると、「譲渡所得」として所得税と住民税がかかります。利益は次の式で計算します。
売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得
- 取得費:親がその家を買ったときの代金など。建物は年数に応じて価値を減らして計算します
- 譲渡費用:仲介手数料や、売買契約書の印紙代など、売るために直接かかった費用
| 区分 | 所有期間(売った年の1月1日時点) | 税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 所得税15%・住民税5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 所得税30%・住民税9% |
出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」。このほか、所得税には復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかります。2026年10月14日に確認。
出典:国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」。2026年10月14日に確認。
空き家の3,000万円特別控除の条件
親がひとりで住んでいた家を相続して売る場合、条件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)。国税庁が示す主な条件は次のとおりです。
| 主な条件 | 内容 |
|---|---|
| 売る期間 | 2016年4月1日から2027年12月31日までに売ること |
| 売る期限 | 相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること |
| 建物 | 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家で、マンションなどの区分所有建物でないこと |
| 住んでいた人 | 相続の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいなかったこと |
| 売る前後の状態 | 相続のときから売るときまで、人に貸したり住んだりしていないこと |
| 耐震・取り壊し | 耐震基準を満たすようにリフォームするか、家を取り壊すこと(2024年1月1日以後の売却なら、売った年の翌年2月15日までに行えばよい) |
| 売った金額 | 1億円以下であること |
| 控除額 | 最高3,000万円。2024年1月1日以後の売却で、家と土地を相続した人が3人以上なら、1人あたり最高2,000万円 |
出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」。2026年10月14日に確認。
ほかにも、親や子など「特別な関係がある人」に売った場合は使えない、同じ相続財産で「取得費加算の特例」などを受けていないこと、といった条件があります。親が老人ホームに入っていた場合も、一定の条件を満たせば対象になります。
この特例を使うには、確定申告のときに、市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」などの書類が必要です。
よくある質問
Q相続登記をしないまま売ることはできますか?
Q兄弟で相続した実家を売るときは?
Q利益が出なかった場合も確定申告は必要ですか?
Q古くて売れそうにない家はどうすればいいですか?
古い家を放っておくと、税金や管理の負担が増えることがあります。くわしくは空き家を放置するリスクの記事をご覧ください。
まとめ
参考:国税庁(空き家の特例)/国税庁(長期譲渡所得)/国税庁(相続した土地・建物の取得費)/国税庁(登録免許税)/国税庁(印紙税)/国土交通省(仲介手数料)/法務局(登録免許税の免税措置)/法務省(相続人申告登記)