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空き家を放置するリスク|管理不全空家・特定空家と固定資産税の特例解除

この記事でわかること
  • 2023年の空き家法改正で変わったこと
  • 固定資産税の住宅用地特例が外れるしくみ
  • 放置した空き家で所有者が負う責任
編集部
2023年12月から、空き家のルールが厳しくなりました。「特定空家」になる前の段階でも、市区町村から勧告を受けると、土地の固定資産税が上がることがあります。

空き家は全国で900万戸

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年10月1日時点の全国の空き家は900万2千戸で、過去最多でした。住宅全体に占める割合(空き家率)は13.8%で、こちらも過去最高です。

項目2023年の数
空き家の総数900万2千戸(空き家率13.8%)
そのうち、賃貸用・売却用・別荘などを除く空き家385万6千戸(住宅全体の5.9%)

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」。2026年10月14日に確認。

2023年の空き家法改正で変わったこと

空き家のルールを定めた「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」が改正され、2023年12月13日に施行されました。大きな変更点は次のとおりです。

変更点内容
管理不全空家の新設放っておくと特定空家になるおそれがある空き家に、市区町村が指導・勧告できるようになりました
勧告で固定資産税の特例が外れる管理不全空家として勧告を受けると、土地の固定資産税の住宅用地特例が外れます
特定空家への緊急代執行屋根が落ちそうなど緊急のときは、命令などの手続きを省いて、市区町村が取り壊しなどをできるようになりました
財産管理人の選任相続放棄された空き家などについて、市区町村長が財産管理人の選任を請求できるようになりました

出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)概要」(2023年6月14日公布、12月13日施行)。2026年10月14日に確認。

特定空家・管理不全空家とは

特定空家は、次のいずれかの状態にあると市区町村が認めた空き家です。

  • そのまま放置すれば倒壊などで、著しく保安上危険となるおそれがある
  • 著しく衛生上有害となるおそれがある
  • 適切な管理が行われていないことで、著しく景観を損なっている
  • 周辺の生活環境を守るために、放置することが不適切である

管理不全空家は、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある空き家です。国の指針では、たとえば屋根や外壁などの「構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食等」が、管理不全空家の状態の例として示されています。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条第2項・第13条(国土交通省「ポイント解説・読替表付」)、国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針」概要資料。2026年10月14日に確認。

市区町村からの措置の流れ

STEP1
助言・指導市区町村が現地を調べ、問題があれば所有者に管理や修繕をするよう助言・指導します。
STEP2
勧告改善されないと勧告を受けます。管理不全空家・特定空家どちらでも、勧告を受けると土地の固定資産税の住宅用地特例が外れます。
STEP3
命令(特定空家)特定空家で勧告に従わないと、命令を受けることがあります。命令に違反すると50万円以下の過料の対象になります。
STEP4
代執行(特定空家)それでも改善されないと、市区町村が取り壊しなどを行い、その費用を所有者に請求します。

出典:国土交通省「改正空家法の概要」、空家等対策の推進に関する特別措置法 第30条。2026年10月14日に確認。

このほか、市区町村の報告の求めに応じなかったり、立入調査を拒んだりすると、20万円以下の過料の対象になります。

固定資産税の住宅用地特例が外れるしくみ

家が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税と都市計画税が軽くなる特例があります。

区分固定資産税都市計画税
小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分)課税標準が6分の1課税標準が3分の1
その他の住宅用地(200㎡を超える部分)課税標準が3分の1課税標準が3分の2

出典:鹿児島市「住宅用地の特例について」。2026年10月14日に確認。

管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、この特例が使えなくなります。特例が外れるかどうかは、毎年1月1日(賦課期日)の時点で判断されます。神戸市は、特例が外れると土地の固定資産税が3.5倍程度上がる可能性があると説明しています。

出典:神戸市「空き家の敷地にかかる固定資産税」。上がり方は土地の評価や地域によって違います。2026年10月14日に確認。

注意神戸市は、勧告を受けた場合のほかにも、使う見込みがなく取り壊す予定の家などは住宅とみなせず、特例が外れる場合があると案内しています。くわしい扱いは、空き家がある市区町村の税務担当に確認してください。

税金以外のリスク

近所の人にけがをさせたときの責任

民法717条では、建物などの設置や保存に問題があって他人に損害を与えたときは、まず占有者が、占有者が必要な注意をしていたときは所有者が、損害を賠償する責任を負うと定めています。岡山市は、空き家が原因で通行人などがけがをした場合、所有者や管理者(相続人)が賠償責任を負うと注意をよびかけています。

出典:岡山市「空き家に関する相談窓口について」。2026年10月14日に確認。

傷みや防犯の問題

人が住まなくなった家は、換気不足や雨漏りの見落としで、想像以上に早く傷みます。瓦や外壁の落下で近所に迷惑をかけたり、不法侵入や放火に使われたりするおそれもあります。

放置しないためにできること

  • 定期的に見回る:換気や通水、雨漏り・庭木の確認をします。通えない場合は、管理サービスを使う方法もあります
  • 売る・貸す:使う予定がないなら、早めに売却や賃貸を考えます。売り方は相続した実家を売る流れと空き家の買取で解説しています
  • 名義を整える:相続登記をしておかないと、売ることも貸すこともむずかしくなります。2024年4月からは相続登記が義務になっています(相続登記の義務化の記事)
  • 自治体に相談する:多くの市区町村に空き家の相談窓口があり、解体費の補助制度を設けているところもあります
ポイント親が亡くなったあとに家を取り壊して売る場合でも、条件を満たせば国税庁の「空き家の3,000万円特別控除」の対象になることがあります。特例の対象になるのは2027年12月31日までの売却です。条件は売却の流れの記事でまとめています。

よくある質問

Q空き家というだけで固定資産税が上がりますか?
A空き家というだけで、すぐに特例が外れるわけではありません。管理不全空家や特定空家として市区町村から勧告を受けた場合などに外れます。扱いは市区町村によって違うので、税務担当に確認しましょう。
Q勧告を受けたあとで修繕すれば、特例は戻りますか?
A修繕などをして状態が改善されたときの扱いや、いつの年度の税金から変わるかは、市区町村によって確認が必要です。勧告を受けたら、まず担当窓口に相談しましょう。
Q遠くに住んでいて管理に通えません。
A空き家の管理サービスを使う、近所の親戚に見回りを頼む、早めに売却を考える、といった方法があります。空き家がある市区町村の相談窓口にも相談できます。
Q家を取り壊せば固定資産税は安くなりますか?
A家を取り壊すと住宅用地ではなくなるため、土地の住宅用地特例は使えなくなります。取り壊す前に、税金がどう変わるかを市区町村に確認しましょう。
このサイトについてしまいかた.com は情報提供のサイトです。税金や法律について個別の判断はできません。具体的なことは、市区町村の窓口や税理士・司法書士などの専門家に相談してください。

まとめ

2023年12月13日の空き家法改正で、管理不全空家が新しくでき、勧告を受けると土地の固定資産税の住宅用地特例が外れるようになりました。特例が外れると、土地の固定資産税が大きく上がることがあります。特定空家になると命令や代執行、命令違反には50万円以下の過料もあります。使う予定がない実家は、名義を整えたうえで、早めに売る・貸す・管理するを決めましょう。

参考:国土交通省(改正空家法の概要)/国土交通省(空家法ポイント解説)/国土交通省(指針の概要)/総務省統計局/神戸市/鹿児島市/岡山市

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